2020年8月5日水曜日

2020年7月19日(日) 第3主日

『弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。』(使徒の働き11章29節)

 双方向の交わり

 エルサレム教会は数々の苦難に遭遇しました。迫害による離散、ステパノの殉教、使徒ヤコブの殉教、使徒ペテロは殉教直前に、み使いによって救出されました。さらに、世界中を巻き込む、大飢饉に見舞われました。それでも、神のご計画は進展しました。
 現在、東アフリカ諸国ケニア、ソマリヤ、エチオピヤでは洪水とコロナウィルス被害に加え、バッタ(飛蝗)の大群が、前回よりもさらに大きな「蝗害」をもたらすと予測されています。食料飢饉に見舞われて行きます。
 
 ローマ皇帝クラウディウス(在位41年~54年)の治世に大飢饉がやってきました。事前に大飢饉の到来を、預言者たちが各地のキリスト者に伝えていました。一番遠くはアンティオキアまで行き、誕生したばかりの外国の教会の聖徒たちに、御霊によって語りました。
 聞いたアンティオキア教会は、どう受け止めたのでしょうか。御霊の言葉として受け入れ備えをしたはずです。飢饉が訪れた時には、困窮したユダヤの聖徒たちのために救援物資を送り届けました。この行為は、十字架の福音による、新たな関係性を表す大変意義深い出来事です。
 かつてユダヤ人と異邦人との間には、大きな隔ての壁がありましたが、今や十字架の福音によって取り除かれて、相互に深い交わりをもてるようになりました。それが、大飢饉のときに実践されました。異邦人の方から、ユダヤ人キリスト者に支援物資が届けられました。福音はユダヤ人から異邦人に伝えられ、支援物資は逆方向をたどったのです。双方向性の愛の交わりです。
 使徒パウロは異邦人との関係をこう語っています。
 「私は、ギリシャ人にも未開人にも、知識のある人にも知識のない人にも、負い目のある者です。」(ローマ1:14)
 貸し借りで言えば、パウロの方が異邦人に対する債務者です。福音宣教は異邦人に恵みを分け与える施しではなく、返済義務の履行に過ぎないと言い、自らを低きにおいています。
 では、受けた側の異邦人回心者はと言えば、キリストの贖いにより自分の罪の負債を帳消しにしてもらった身です。福音を届ける側も、受ける側も等しく、神の恵みの前に低くなり、互いに仕え合う関係です。

 異邦人教会からユダヤ人教会に初めて支援の業がなされました。それが、世界的な飢饉の時でした。
 「異邦人は彼らの霊的なものにあずかったのですから、物質的なもので奉仕すべきです。」(ローマ15:27)
 このパウロの言葉をそのままアンティオキア教会は、実践しました。
 今日、世界的な規模の試練に見舞われていますが、主の御言葉の預言をどう聞くべきかを学ぶ聖書箇所です。
2020年7月12日(日) 第2主日

『さて、ステパノのことから起こった迫害により散らされた人々は、フェニキア、キプロス、アンティオキアまで進んで行ったが、ユダヤ人以外の人には、だれにもみことばを語らなかった。ところが、彼らの中にキプロス人とクレネ人が何人かいて、アンティオキアまで来ると、ギリシャ語を話す人たちにも語りかけ、主イエスの福音を宣べ伝えた。そして、主の御手が彼らとともにあったので、大勢の人が信じて主に立ち返った。』(使徒11:19~21)

アンティオキア教会の誕生

「アンティオキア」は、ローマ時代には、3番目に大きな都市でした。今は、トルコ共和国に属し、シリア・アラブ共和国との国境付近にあります。エルサレムから北へ500キロほどに位置します。
 この地に教会が誕生したことが使徒の働き11章に記されていますが、ここから福音はギリシャ語で語られるようになりました。新約聖書27巻すべてはギリシャ語です。イエスの弟子、マタイ、ヨハネが書いた福音書もそうです。福音がユダヤ人からギリシャ語圏に広まった結果です。
 聖書の言語翻訳数は698言語で、新約聖書のみでは1550言語数です。現在までに161か国、2617言語の聖書翻訳作業が進められているそうです。しかし、世界には7353言語があり、2億5000万人以上が母言語の聖書をもっていないそうです。[英国ウィックリフ聖書翻訳協会]
 主イエスが語り、使徒たちが伝えた福音が、ユダヤ、サマリヤ、ガリラヤのイスラエルを離れ、外国へと伝播しました。初めてできた外国人の教会、ギリシャ語の教会、それがアンティオキア教会です。日本語の聖書を手にし、私たちが読むことができるのも、福音が諸国民に伝えられたからです。
 
 福音がユダヤ人から外国人へと広まるのに、妨げがありました。一つには、食物規定により異邦人との親しい交わりの隔ての壁です。もうひとつには、ギリシャ語の壁でした。食べ物と言語の違いは、散らされたキリスト者たちが同胞以外の外国人に福音を伝えることの妨げになりました。
 その交わりの上での壁を超えたのは、ユダヤ人クリスチャンとは別のクレネ人(アフリカ北部)、キプロス人(地中海の島ギリシャ語圏)出身のキリスト者たちでした。異邦人が異邦人に福音を伝える時代の幕開けです。「約束の契約については他国人」(エペソ2:12)であった者が、キリストの十字架によって実現した両者の平和をもたらしました。
 

 2024年3月31日(日) 第 5主日 『「あなたがたは、どうして生きている方を死人の中に捜すのですか。ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、主がお話になったことを思い出しなさい。人の子は必ず罪びとたちの手に引き渡され、十字架につけられて、三日...